第4回 文書作成と表計算のソフトは何がベストか?
連載第4回目のテーマは「文書作成と表計算のソフトは何がベストか?」です。文書作成ソフトのシェアNo1はマイクロフト社の「オフィス」です(以下MS Office)。一方で、「互換ソフト」と呼ばれる無料、または安価なソフトがあります。これらの互換性を評価するのが今回のテーマです。
目次
1.評価の狙い
マイクロソフトオフィスは、一般消費者が購入する場合、様々な割引制度利用しても、最低でも2万円以上は負担しなければなりません。1台だけならともかく、ライセンスはPCごとに必要となるので、複数台所有している個人や会社では無視できない負担です。数年前までは独占状態だったマイクロソフトオフィスも、最近では無料、またはずっと安価な互換ソフトが利用可能であることから、これら互換ソフトは使用に耐えうるかどうかを評価してみました。
- KINGSOFT OFFICE 2010 Standard VBA対応版 5,480円
- OpenOffice.org 3.1.1 無料
- Microsoft Office Professional 2010 ベータ版
- Microsoft Office Web Apps プレビュー版
OpenOfficeは無料、KINGSOFT Officeは5,480円と大変安価です。Microsoft Office 2010はベータ版ですが、Microsoft Officeのウェブ版である「Microsoft Office Web Apps」との連携を確認するために利用してみました。なお、2010年1月の段階では、ウェブ版は表示と印刷機能だけ利用可能であり、編集機能は準備中としてリリースされていません(準備中というメッセージが表示されます)。
環境はWindows 7 のXPモードで各ソフトをインストールした異なる仮想マシンを構築し、それぞれ独立した環境とした。
3.評価方法
ビジネスで文書を作成する場合、まったく新たに文書を作成するというよりは、何らかの過去文書を修正するというケースの方が圧倒的に多いのではないかと思います。従って、Microsoft Officeで作成された文書を互換ソフトで問題なく扱えるかという評価を実施しました。Microsoft Officeで作成したWord、Excel、PowerPointの文書はマイクロソフト社のテンプレート集からダウンロードさせていただきました。
評価のために使用した文書数
- Word 2003:14文書 Word 2007:9文書
- Excel 2003:14文書 Excel 2007:7文書
- PowerPoint 2003:3文書 PowerPoint2007:3文書
それぞれの文書の内容は評価結果と併せてご覧ください。
4.評価結果と考察
評価結果は以下をご覧ください。
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Wordの互換性評価結果一覧表→PDF
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Excelの互換性評価結果一覧表→PDF
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PowerPointの互換性評価結果一覧表→PDF
- 評価に使用した文書ファイル→コチラ
- WindowsLive SkyDriveサイトが開きます。
- Office Web Appsで閲覧できます。
- Office Web Appsは登録が必要です。→コチラ
4.1 KINGSOFT OFFICE 2010 について
MS Office 2003で作成した文書に対してはWord、Excel、PowerPointとも十分な互換性があります。特にExcelのマクロがエラーなしに動作するのは驚きでした。操作性もMS Office 2003とほぼ同じであり、まったく違和感がありません。十分に実用に耐えうると判断しました。ただし、Excelマクロの処理速度はMS Officeが高速です。
MS Office 2007で作成した文書は単純な文書であれば問題なく扱えます。Word 2007の特徴であるフィールドを多用したフォームやExcelのマクロは互換性がありません。MS Office 2007から乗り換える場合は注意が必要だと思いますが、現実的には、MS Office 2007ユーザでも、2007のオリジナル機能を使っている一般のユーザはほとんどいないと思われるので、大きな問題はないと思われます。
4.2 OpenOffice について
シンプルなMS Office 2003 文書に対しては十分な互換性がありますが、Excelのマクロや複雑なプレゼンテーションは注意が必要です。Excelのマクロは全く機能しませんでした。
MS Office 2007に対しては全く互換性がないと判断してよいと思いますが、先にも述べたように、MS Office 2007独自の機能を使っていなければ、大きな問題にはならないと思われます。
4.3 Microsoft Office 2010 ベータ版 について
当然ではありますが、MS Office 2003 と 2007の互換性については全く問題がありません。インターフェースはMS Office 2007 を踏襲したリボンインターフェースです。よって操作感もMS Office 2007 と同じです。
マイクロソフト社のオンラインストレージサービスである「SkyDrive」にダイレクトに保存できる機能があり、実際に使用してみました。ローカルドライブやネットワークドライブの代わりに、遠隔のオンラインストレージに保存するだけなので、表面上は特筆するものはありませんが、互換ソフトにはない付加価値の高い機能だと思います。「SkyDrive」を利用するためにはWindows Live のアカウントが必要です。「SkyDrive」にアップロードしたファイルはMS Officeのウェブ版であるMicrosoft Office Web Appsで閲覧、印刷することができます。
4.4 Microsoft Office Web Apps プレビュー版 について
MS Officeのウェブ版です。PCにMS Officeなどの文書作成ソフトがインストールされていなくても、ウェブブラウザだけでMS Officeが利用できます。Office Web Appsは無料ですが、WindowsLiveアカウントとOffice Web Appsの利用登録が必要です。Office Web Appsの説明と利用登録はマイクロソフト社のコチラのページをご覧ください。
サービス構成がちょっとわかりにくいですが、ファイルを保存するサービス自体は同社のオンラインストレージサービスである「SkyDrive」であり、Officeの文書をブラウザで操作する部分が「Microsoft Office Web Apps」と理解できます。2010年1月末現在はプレビュー版という位置づけの様で、文書の閲覧と印刷が可能です。文書の作成や編集はOffice2010ベータをPCにインストールして、Office2010から直接「SkyDrive」に書き込む方法が一番簡単です。Office2010がない場合は、2003や2007、またはKINGSOFTなどの互換ソフトで文書を作成し、一度PCに保存したあと、ブラウザを使って「SkyDrive」にアップロードすることができます。また、Office2010をインストールしていると、SkyDriveをネットワークコンピュータの一部として利用できたり、Office Web Appsとシームレスに連携ができます。
過去文書の互換性は基本的には問題がありません。Excelについては、マクロやコントロールオブジェクトが含まれる文書は開くことができませんでした。
特筆できるのは、対応するブラウザがIE8はもちろんですが、FirefoxとGoogle Chromeでも利用可能で、ブラウザによって動作が異なるということがなかったということです。特に推奨ブラウザの記載も見つけることができませんでした。Ajax(JavaScript)を考えれば当然な結果ではありますが、オープン化が確実に進んでいる印象を受けました。
Microsoft Office Web Apps (Internet Exploler )

Microsoft Office Web Apps (Firefox3)

Microsoft Office Web Apps (Google Chrome)

KINGSOFT Officeをメインに、MS Officeは予備で
KINGSOFT OfficeとOpenOfficeとMS Office 2003との互換性の高さは意外でした。十分実用に耐えうると思います。特にKINGSOFT OfficeはExcelマクロも利用できますので、一般のビジネスシーンで十分使えるものと判断します。ただし、100%互換を保証するものはありませんので、家庭や組織で1台はマイクロソフトオフィスが使えるPCを確保することは必要だと思われます。よって、経費を節約するという意味で推奨するライセンス購入形態としては、仕事のために所有するほとんどPCでKINGSOFT Officeをメインに使い、マイクロソフトOfficeが必要な場合に備え、1台または数台のPCでマイクロソフトOfficeを使うという形態がお奨めです。
安価な互換ソフトを利用する意味はもう一つあります。今後は、従来PCにインストールして使っていたソフトのクラウド化が更に進むことは確実です。よって、従来型の高価なソフトを考えもなしに導入することは得策ではないと考えます。しかし、今後増加するクラウドサービスが使いやすいかどうかはわかりません。それらの実態が明らかになるまでの過渡的な措置として安価な互換ソフトを利用してはどうかということです。
マイクロソフト社の気になる動向
今回の評価で互換ソフトの完成度に驚いたわけですが、一方で考えたことは、マイクロソフト社としては今後どう対応していくのか?ということでした。マイクロソフト社は、Windows OS と周辺ソフトをハードウェアとセットで売るというスタイルで巨大なシェアを獲得してきました。しかし、現在はインターネットが巨大なプラットフォームとなり、従来のモデルが崩壊してきています。従来のソフトは逆に互換ソフトにシェアを奪われそうになっています。本当はOffice2007やWindowsVista以降ではXML化や仮想化、サービス連携などの隠れたしくみが追加になっていますが、非常にわかりにくい結果となっています。サービス面ではGoogleをはじめとするクラウド勢に先行を許しているように感じます。マイクロソフト社もクラウドサービスの比重を高めていくと考えられますが、現状では同社のクラウドサービスが使い勝手がよいとは思えません。過去の様々な製品がそれぞれにクラウド化されて一体感がないというか、わかりにくい印象があります。今後の同社の動向に注目したいと思います。
6.次回ご案内 Googleメールを活用する
次回は、インターネットを利用する上で個人・ビジネスに関わらず欠かせないサービスとなったグーグルについて、その活用方法をご案内したいと思います。(事情により変更になる場合がありますがご了承ください)
※本記事を元にして発生した損害やトラブルに対して著者および関係者はその責を負いません。








MYT戸田です
いつも我が家での表計算やワードソフトは躊躇するものがありました。役立つレポート参考にさせていただきます。
Googleの活用は是非お願いします。Analyticsのデータの見方設定の仕方などあれば、参照する方も多いかと思います。
では
Comment by 戸田裕子 — 2010 年 2 月 4 日 @ 11:04 AM
いいレポートありがとう。
PDBマーケティングでも全PCを一斉に入れ替えます。
Windows7に統一するので、この機会にKINGSoftを考えています。
XPモードでアプリをインストールする方式もまた教えてください。
電子登記申請が7に対応していません。
Comment by 藤田幹夫 — 2010 年 2 月 6 日 @ 2:23 PM